ボルトエンジニア

工学講座 ボルト・ナット締結の知識

質問4

戻り回転していないのに、なぜボルトが緩むか?
(振動・加温がない静的な条件の場合)

回答

[1] 接触面の凹凸の平坦化による緩み

ねじ面、ナット座面、ボルト頭部座面、被締結体界面をはじめとして、締結部の接触面に存在する微小な凹凸の塑性変形が時間とともに進行することによる。以下の図は、表面あらさに起因する接触面の突起が面圧を受けて変形する様子を示している。面圧を受けると本体に比べて剛性の低い突起部分が最初に変形する。さらに、突起部分は剛性が低いためにその後も変形が進行しやすい。

座面の平坦化・なじみ

[2] 座面部の陥没緩み

被締結体(母材)の強度がボルトに比べて低い時に高いボルト軸力で締め付けた場合,ナット座面,ボルト頭部座面に大きな面圧が発生した結果,接触面付近の塑性変形が時間とともに進行することにより起こる。

座面部の塑性変形、へたり

[3] ボルトの締め過ぎによる緩み

降伏点を越えてボルトを締め付けたことによって発生した塑性変形が時間とともに進行することにより発生する。

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